ハリハリのブログ

人に見せても良いと判断した思想感情を記録しておくための保管庫

遙かなる時空の中で6感想 ~最推しは村雨でした~

先日の景時(遙か3)エントリが予想以上にのびてビビったハリハリです。


にわかの私よりもずっと前から濃く長く景時を愛してきたであろう方々から「それな」「わかる」との反応をいただけて大変うれしかったです。景時さん愛されてる……!!

いまさらですが、自分の好きなことを言語化して説明できるのってひとつのスキルなんですね。TRPGをやっているのと他人のブログや考察系ツイッターを見るのが好きなせいで誰でもできることだと勘違いしちゃってたんです……。
まじで私、自分が語彙力高いとは思ってないし文章力も低いと思ってたんですよ。リアル友人に辞書を読んだことある人がいたりするもんで、アマチュア文字書きとしても底辺だと思ってました。ちょっと認識あらためます。謙遜はいいけど卑下はだめ。

 


では本題。

遙かなる時空の中で6全エンドクリアしたぞー!!

遙か3の感想記事と同様、テーマごとに思いつくまま書いてみます。言及してないキャラは好き嫌いというより、どう書いていいのかわかんなかったんです……。ルード君かわいかった。

 

ここから先はネタバレ配慮一切ないので、適宜対処でお願いします。
画像はいずれも遙かなる時空の中で6 公式サイトよりお借りしました。

http://www.gamecity.ne.jp/haruka6/


主人公 高塚梓-黒龍の神子

f:id:harimarin:20171102225152j:plain

歴代シリーズでは主人公は白龍の神子だったのが、今回はその対である黒龍の神子が主人公。

まず驚いたのは、一章序盤。ダリウスが「やっと笑ってくれたね」というセリフを言った時です。
ほんとだ、この子ゲームが始まってからしばらく笑う立絵が表示されなかった……!
異世界に召喚されたと思ったら鬼の集団に誘拐され、わけもわからず怨霊と戦わされる展開がしばらく続きます。
当然、主人公の気持ちとしては混乱と恐怖しかありません。笑顔を浮かべる余裕なんて生まれない。応答がまともにできていただけ立派なものです。

しかし望美さまであれば、あの状況でも「ルードくん強いんだね!(にっこり)」くらいはやりそうなもの。陽の気をうけた白龍の神子ってのはそういうものでしょう。
※ハリハリは遙かシリーズを3しかやっていないので比較対象が望美さまになりがちです。ご了承ください。

ゲーム開始から10分以上笑顔を見せなかった梓は、それだけで黒龍の神子たる証を立てたようにハリハリは思いました。あと、待たされたぶん笑顔がむちゃくちゃ可愛かったです。


もうひとつの特長として、この子は頭がいいです。あと脳内でちょくちょく毒を吐いてる。
(ずるい手を……)とか、(長考だったな)とか、(最低だ)とか、望美さまなら思い浮かばないようなことをこっそり考えていてかわいいです。

残念だった点をあえてあげるなら、せっかく黒龍の神子を主人公にしたならもっと性格を陰の性質によせたほうが面白かっただろうなというところでしょうか。ええ、ぶっちゃけ破壊も停滞もしてないよねと。
性格も明るいし純粋素直ないい子だし。つまり陽の気の気質なんですよね。あれを黒龍が好むのはちょっと納得いかない。せめて近くにいる人の寿命を縮めるくらいの設定があってもよくないですか?(よくない)
まあ、これに関してはガッツリやってしまうとネオロマンスシリーズの枠から外れてしまうという事情もあり難しいところです。

 


ダリウス 地の青龍

f:id:harimarin:20171102225148j:plain

私は綺麗な顔が好きです。
そんなわけで最初に攻略したキャラクターとなりました。
すごく王道にスマートに口説いてくれたかと思えば、バランス崩したときの冷たい狂い方がヤバくてよかったですね。シュークリーム怖いよ。
かなりの高ストレス下をもちまえのスペックで乗りこなしているキャラなので、恋愛を乗せるといいかんじにおかしくなるの良いです。

「ネックレスをつけるのを、やり直させてほしい」と梓が歩み寄るシーンがとても好きです。同じ行為でも、信頼していれば少しも怖くないというのは説得力がある。
梓が自力でダリウスたちの目的の理解に至ったときの会話も好きですね。梓を見くびっていたことの謝罪と賞賛をダリウスが行った(=力量をフラットに認めた)ことで、やっと対等な同士として協力ができるようになった感じがありました。

本作攻略キャラ中トップの能力と権力の持ち主。世襲制だった鬼の一族の首魁に外からあっさり就任したスペックはもちろんですが、彼が号令をかければ国中の鬼の一族が蜂起するのでその気になれば血みどろの内戦が起こせます。ゲーム本編では一族のほとんどが国外避難してたから目立たないんですけど、動かせる人数はけっこうヤバイ。きっと最終的にはアメリカのユダヤ社会的な立ち位置に入りこむのでしょう(勝手な妄想)。

好きなシーンは、一章終わり。

「俺はダリウス。鬼の一族を束ねる者。」
「そして君は――黒龍に選ばれた神子。破滅を呼ぶ神子殿だ」

めっちゃぞくっとしましたよ。鈴村健一さんすげえな!
一語一語、噛んで含めるようにささやいて梓に立場をわからせる台詞回し。もうこれ聞けただけで遙か6は名作!ってなりました。

 

 

里谷村雨 地の玄武

f:id:harimarin:20171102225212j:plain

 

推しです。
大正デモクラシー担当、年の差恋愛系。
そしてそして現代人枠!!!

「今回、主人公の巻き添えで時を超えちゃったキャラいないなー」と思ってたら隠れてた。びっくりしました。けっこうガチめにステルスかけてましたね。
珈琲のシーンで一度(ブラックコーヒーって大正時代の言い回しか?という疑問があった)、そして口述筆記のシーンでも違和感はあったのですが見抜くまでには至りませんでした。結実の花に噛んでるのはすぐわかったので悔しい。(レミゼのせいでカフェには政治結社があると夢見てるマン)
しかし梓ちゃん、旧字体新字体という言葉がさらっとでてくるとは教養があるな。

私も字が汚いので、村雨にはむちゃくちゃ共感しながらやってました。
現代人だとわかるまえは、ワープロorパソコンの存在を梓が教えて「お前の世界に行きたい」と言い出す村雨……みたいな妄想をしてたくらいです。うん、教える前に知ってたね。パソコンがない世界に放り込まれてさぞ辛かったでしょう。
キーボード筆記の偉大さは思考速度と筆記速度をそろえてくれる点も大きいので、ライターとしてはマジでしんどかったんじゃないかと思います。脳みその一部が奪われるくらいのインパクトはある。あの世界でも作家として身を立てた村雨さんすごい。

村雨さん恋愛イベントはどれもこれもむちゃくちゃ好みでした。これ!これだよ年の差恋愛の醍醐味は!!ってかんじ。
ハートがキュンキュンするというよりは、背中にビリビリきますね。緊張感がある。
35歳が16歳に手を出すのは勇気いる。わかるよ。若い時の数年がどんだけ大事か痛感してるからそれを背負うのキツいよね。なのに梓は村雨の葛藤を1割も理解しないでぐいぐい来るからね。別に梓が悪いんじゃなく、若いゆえの必然なんだけど。いやあ、しんどかっただろうなあ。
私がアラサーになったこともあり、村雨の気持ちもかなりわかるようになりました。年をとるっていいことだわ。

梓のアタックをかわす台詞がひとつひとつ丁寧で、ああこの人はペンで食ってるんだなと思いましたね。
行方知れずになった梓を発見して抱きしめているスチルは、自分を納得させている顔だなと感じました。おっさんの顔でした(好きです)。もちろん安堵のほうが大きかったんでしょうが、「あー、これだけこの娘に必死になって、見つかったら死ぬほど安心するんだから手放すのは無理だな」って再確認が裏で走ってるかんじ。おそらく梓よりも先に両想いだと気づいていて、しかし実際に手に取るのに死ぬほど時間かかるのが年の差恋愛ですごくいいです。


村雨シナリオで良かったのは、梓が「私をただの娘じゃなくて 民衆の代表者である神子にしてください。」と村雨に頼んだシーンですね。恋愛イベントの序盤、村雨の部屋でくつろがせてもらった梓が「私を神子ではなくただの女の子として扱ってくれる」と感じていたシーンと対になっています。
村雨は現代で梓とエンカウントしているため、彼女がただの女子高生に過ぎないことを知っています。そこに彼自身の思想信条もあわさって、「不憫なガキ」扱いするという気遣いが生まれたのでしょう。(ついでに恋も生まれちゃいましたが)
高塚梓という個人を村雨が大事に守ってくれたからこそ、いよいよというときに自ら「神子になりたい」とまっすぐ言えるようになったのは美しいです。現代人カップルっぽい価値観のあらわれですね。


本条政虎-地の白虎

f:id:harimarin:20171102225205j:plain

乱暴、がさつ、やさしさがあまり見えないと印象が悪かったので攻略が後回しになった人。ふたを開けてみたらとても面白いシナリオでした。

虎ルート(政虎はほとんどのキャラから虎と呼ばれるため、以降それに倣います)で最高に面白いのは序盤です。誰が何と言おうと序盤です。
助けに来てくれたお礼を言ったら好感度を下げられてびっくりしたよ!!

虎のイベントは、他のキャラとはあからさまに毛色がちがいます。良心的で謙虚で純粋で正しく優しい選択肢を選んでも好感度があがらないどころか、場合によっては下がるのです。
「実力を超えた人助けをすんな迷惑だ」「謝罪や返礼はモノ(金)で示せ」「ぱっと見かわいそうな側だけを助けるのは不公正を助長することもある」「他人の善意をただ信じて寄りかかるのは怠惰だ」といったことを、虎は序盤のイベントで教えてくれます。柄は悪いし、本人も善人ではないのですが言っていることはまっとうです。あと、乙女ゲー主人公に「秩序-善をつらぬくだけでは何も守れないどころか逆に迷惑」とズバッと言ってくれるキャラはなかなかいない。他の攻略キャラは「君の純粋さは素晴らしい」って言っちゃうからね。
良くも悪くも地に足がついた男で、主人公を飛び越えてプレイヤーにとっても有益な勉強をさせてくれるキャラだなと思いました。感動した。

虎からの教育により善を為すためのコストを理解した梓でしたが、その重さを知っても自分が善いと信じることをしようとするので最終的には虎のほうも感化されます。お父さんの件がすっきり解決した後の虎マジ最強でしたね。もともと力はあったけど思想がない人格だったところに、一本芯がとおると本当に強い。あまりに信頼できる。


あ、終盤で梓からは金も礼も受け取らないという虎に「お礼のキスもいらない?」と尋ねると、「……。」と黙ったまま3度に分けて好感度がガン上がりするというめちゃめちゃ笑えるシーンがあります。かわいすぎか。

 


萩尾九段-天の玄武

f:id:harimarin:20171102225209j:plain

初見ではあんまり好きじゃない見た目と声をしてたので、しばらくスルーしていました。他のキャラを攻略するうちに、情緒が幼いゆえに純粋で直球なところかわいいなとなってきて攻略を決定。甘いものがからむとめっちゃ真剣になるのかわいいよね。

星の一族という、龍神の神子を守る一族の末裔。役目を果たすための修業に幼いころから時間を費やしたため、世間の常識がちょっとあやうく、情緒がすごく幼い。なのに全キャラ中トップクラスに背が高い。そのギャップが気づけば萌えになっていました。

好意や恋心を恥ずかしいと感じないため、常に愛情表現がわかりやすい。愛情表現が「自分の好きなもの(=甘いもの)をプレゼントする」なのが小学生感ある。好きだなと思ったらお菓子を渡し、嬉しいなと思ったら甘味をプレゼント。

主人公がドレスを試着したところにエンカウントしたシーン、すごいかわいかったです。「変じゃないか確認したい」と梓が言ったら「確認する必要などあるものか!(=とてもかわいい!)」と食い気味で反応し、そして褒める言葉が見つからないことを全力で悔しがり、一生懸命考えて梓が綺麗だと言った千代紙の花束を作り「この花束より千倍、綺麗だ」と言い切る。

うっ……かわいい。
小学生男子の品が良くかわいいところだけを取り出して、大きな優男につっこんだようなキャラクターです。癒されます。かわいい。

愛情表現という点では小学生なのに、いざ星の一族として行動するときはびっくりするほど根性を発揮するのもギャップが大きくていいです。軍に飛び込み営業して神子召喚について首を縦にふらせたり、術を覚えるために徹夜してくれたり。
頑張れば未来が変えられるかもしれないなら努力するのが当然!って思考なのですが、……それは若干狂人に片足をつっこんでいることを周りの人は気づいてあげてほしい。

ちなみに村雨は異世界ジャンプ直後、九段の実家に居候していた過去があります。そのためこの二人はそれぞれのルートでからみが多いです。お互いの良いところが互いのルートでちらりと見える素敵な腐れ縁。

 

有馬一-天の青龍

f:id:harimarin:20171102225141j:plain

なんとなく他ルートでは印象が薄くて攻略が最後になってしまった軍人さん。
それもそのはず、この人は非常に素晴らしい軍人の鑑といえる人格の持ち主なのですが、そのせいで恋愛でもしないことには自分の職務に徹してしまうのです!だから他キャラルートでは彼の魅力は埋もれがち……。

とはいえ、初期の印象は悪くありませんでした。
「精鋭分隊隊長、有馬一だ。 よろしく、高塚。 案外、芯が強くて安心した。」という自己紹介と笑顔が、最高にさわやかだったからです。
直前まで梓に黒麒麟の件(ダリウスが梓の能力を利用して軍に打撃を与えた事件)を問い詰めていたのに、その件を梓が謝罪して神子としてはたらく決意を述べるとスパッと「仲間」としての扱いに切り替えたのです。
この人は今後決して黒麒麟のことは蒸し返さないな、と確信する一場面でした。
イベントを進めて行っても、恋愛感情より先に尊敬の念がガンガン育っていくかんじです。格好いいんだけどね。

有馬ルートは、ラスボスである邪龍の怖さが実感できるほとんど唯一のルートです。
(邪龍があんまり怖くないのは、遙か6の欠点の一つです。人心を乱す能力を生かし、民衆の頭をおかしくして流言からのリンチ虐殺とかやってほしry)
ただのしかばねのようになっている有馬発見からの一連の流れはなかなかドキドキしました。

恋愛面については最後の最後まで朴念仁の堅物ぶりを貫いてくれた我らが隊長殿でしたね。人格が高潔すぎると恋愛って難しいんだなと思いました。恋は盲目で惜しみなく愛は奪うもの。恋しい相手を大切にするだけでは恋愛って成立しづらいところ、あります。
良い軍人ではあるのですが、良い夫になるのには訓練が必要そうだとED後がちょっと心配になるカップルでした。
友部と秋兵がうまいことやわらかくしてくれるといいなあ。


あ!そうそう有馬ルートを最後にしたせいで、友部が元気になったことを私は全クリぎりぎりまで知りませんでした!
例にもれず友部めっちゃ好きで、夜会のシーンすごい悲しかったから嬉しかったです!今後はもうちょっと慎重になれよ!

 

 


その他感想

駒野千代-白龍の神子 

f:id:harimarin:20171102225147j:plain

ボイスを聞いた瞬間に「これは白龍の神子ですわ……。美しい魂ですわ……」と心から納得しました。リアルにいたら神に愛されすぎて早死にしそうな子だなと思ってたら本当に病弱設定だった。よかったネオロマ世界でなければ死んでいた。

明るい乙女ゲー全般に通じる問題として「お前らもっと葛藤しろ」というものがありますよね。ぶっちゃけ千代の初手から「神子の使命をまっとうします!」と覚悟ガン決まりなかんじもどうなのよと思わないではなかったですが、あの声と立絵の説得力がすごすぎたのでいいです。


戦闘システムについて

動ける方向が多いカードは正義。(←将棋とか死ぬほど苦手マン)

属性相性のある将棋的なシステムでした。駒に相当するキャラクターカードは、戦闘に勝利した際の経験値のほかに育成専用カードや敵キャラカードを食わせることで成長します。
チュートリアルで育成を説明された瞬間ソシャゲじゃん!って思ったのですが、ソシャゲとはちがって攻略キャラのカードを食わせたりすることはありません。平和。

 

背景について

影絵的な背景がとても好みでした。大正時代という舞台設定にもよくあうレトロな雰囲気。
恋愛イベントでもスチルでなく影絵で表現されるシーンが各キャラ1か所はあり、とてもロマンチックで大好きでした。虎が黄泉に追いかけに来てくれるところとか特に良かったですね。

 

全体ストーリーについて

えー、深く書くのが怖いので箇条書きします。
固い単語を選んでいますが、ぜんぶシナリオ中に起こったことです。

  • 暴走気味の軍拡をつづける軍部
  • 人狩り」と俗称される強制徴兵
  • 違法な植物を用いて強力・完全服従な兵士を作成
  • 邪神が現れて逃げ惑う市民に「竹槍で最後まで戦え」と発言する軍上層部
  • 軍による情報隠ぺい
  • 被差別民族への流言(軍主導)


……いや、これ大正ロマンの皮をかぶっただいにうわなにをするやめ

 

大団円ルート

とつぜん攻略キャラが全員ウェイター姿のスチルが出てきて爆笑した。欲望に忠実すぎる。

 

 


ひとまず感想は以上です。
村雨さんの珈琲が飲みたい。ブラックで。

 


余談

九段だったかダリウスだったかが、「白龍の神子は弱いので八葉を選んで守護してもらう」という話をした時に彼女↓の姿が浮かんだのは私だけではあるまい。

f:id:harimarin:20171102225804p:plain

 

余談2

村雨は大正時代で小説家をするにあたり、「現代(21世紀)の出来事を幻想的に脚色」した作品を世に出しています。スカイプを念話風味で書くとかかな……。
プレイ時はただ感心していたのですが、全クリ後にふと思い浮かんだのは「星新一はタイムスリップをしてきたのでは?」という妄想でした。

星新一作品が「予言」のようになった話あれこれ - Togetterまとめ

だってふつう思いつくか?コンテンツは無料になったけど死ぬほど広告が出てくる世界とか、共通の趣味をマシンが検索して話をもりあげてくれるストーリーとか。(長編があまり面白くないというのも含めて、すごくそれっぽい)
星新一先生には大変失礼なことと承知の上で、彼が未来人だったと考えるのはけっこう筋が通ってて面白いです。なんとなく現在よりもう50-100年くらい未来からきてる気がする。