ハリハリのブログ

人に見せても良いと判断した思想感情を記録しておくための保管庫

「好きを潰す怪物の話」を受けて~それってパワハラでよくね?~

はじめに

はじめに本稿は「とある某リゾートで起こっていること〜好きを潰す怪物の話〜」のエントリを受けて私が考えたことについてまとめたものです。

zundakun.hatenablog.com

バズってから数日たち、ブログ内で「怪物」と称された方がオープンアカウントから彼女視点での情報提供を行ったりしていて状況は変化しつづけています。今後注視していても、事実関係が外部目線で確定することはないでしょう。

そもそもブログ主の記事自体が伝聞主体ということもあるし、問題のスクショはすでに元ブログから消されています。文章もかなり修正が入ってしまっていて、いまではジャンルの名前すらぼかされています。

なので本エントリでは、あくまで元エントリに言及された人個々人の是非を問うのではなく、仮に元エントリに書かれていたことがすべて事実だったとして見えてくる問題を考えてみたいと思います。あくまで思考実験ではあるのですが、実際にあった(かもしれない)ことを下敷きにしているので倫理的には正直グレーな文章といえます。その点を踏まえてごらんください。

 

言及されている「被害」の整理

ここからは、ブログ主、Aさん(ブログ主の友人)、Bさん(元エントリでの「怪物」)というかたちで話をすすめていきます。

元エントリで言及されている内容はこうです。

・ブログ主、Aさん、Bさんは同じ役者の追っかけをしている
・AさんがBさんから暴言ととれるDM、エアリプを受け取る
・ブログ主とAさん、Bさんから睨まれる
・AさんはBさんの行為により、アクターの追っかけを続けることに苦痛を感じている

もっと短くまとめると、「同担の人にTwitterを通じて暴言を吐かれ、対面でも嫌がらせをうけているためにオタ活を続けるモチベーションをなくしはじめている。」……という話です。
他にも元エントリにはいろいろな「被害」が言及されていましたが、Aさんに直接かかわるもののみを抜粋しています。

どうでしょう、他人事と感じられるでしょうか。大なり小なりオタク活動をしている人で、自分がこういう事態にまきこまれないと断言できる人っているんでしょうか。私は自分の半歩横に崖が見えます。

 

ブログ主、Aさんは「無実」でなければならないのか

今回の件をややこしくしているのは、ブログ主のふだんのオタ活がそもそもグレーだったことです。

まず、某リゾート運営が公には認めていない「キャストの中の人」の追っかけであること。著作権法的にグレーな活動をTwitter上でしていたこと(写真やチラシを加工し、知り合いに頒布)など。
(あと、鍵垢のスクショを無許可で掲載していた点も倫理面で議論はあります。第三者(フォロワー)には見せてたわけだしプライバシー侵害の構成要件は満たさない気がしますけど。引用の要件は満たしてなかったけど満たそうとするとアカウント晒しになるのでむしろ良かったねと……)

上記のような点をもって「お前にBさんを糾弾する権利はない」と言う声もあるのですが……。いや、それはちがうだろ。と私は考えます。少なくとも元エントリが事実とするなら、Bさんの「行為」は糾弾されてしかるべきです。

ブログ主の悪行(あえてこう言います)は悪行、Bさんの暴言は暴言です。
(個人的にはチラシ加工・頒布と暴言を比べたら釣り合ってなさすぎてナンセンスだなと思いますが)

極端なたとえですが、無賃乗車で電車に乗っているときに痴漢にあったとして、被害を訴えちゃいけないんですか?という話です。
無賃乗車は無賃乗車、痴漢は痴漢で別々に対処をするべきでしょう(ふてぶてしいとは思いますが)。

とくに版権二次創作のオタ活をしている人は、この点間違えると思いっきりブーメランが飛んできます。
「お前は○○という悪いことをしてるんだから嫌がらせを訴える権利はない」という論理は、聞く耳をもってはいけない主張です。相手は口をふさぐためにわざと言ってるか、もしくは問題の切り分けができない人です。

 

なぜオタク同士で嫌がらせをしてはいけないのか

今回の件、はたから見れば某リゾートオタク同士のもめごとです。
私も某リゾートにはたまに行くものの、オタクではないのでぶっちゃけぜんっぜんかかわりがありません。某リゾートで役者オタが禁忌であることも今回はじめて知りました。じゃあなんでこんなに首をつっこんでいるのかと言えば、自ジャンルでもおそらく現在進行形で起きていそうな問題であるため、自身が依って立つ理屈がないのはちょっと怖いぞ、と感じたからです。

いや、もちろん今でも十分に理屈はあります。「暴言は駄目」これだけです。小学生でも知ってます。人にひどいこと言っちゃダメ。

で・す・が、これだと弱い。なぜ弱いかって、あくまで個人同士の話で終わってしまうからです。

今回だと、BさんがAさんにひどいことを言ったので、Aさんはそれをやめてほしい……たしかにこれなら、スクショさらしたりするのは大げさといえます。Bさんが悪い奴だ、あるいはAさんが我慢しろ、で終わってしまう。
大人同士のけんかは、頼まれないかぎり仲裁しないのがマナー。何も知らない外野に訴えるのはやりすぎの報復行為です。

問題は、これがただの「もめごと」なのかどうかってことです。仮にブログ主のエントリが事実だとしたら、Bさんの行為は、Aさんの受けた被害はオタク同士のもめごとという言葉に納めていいものなのか。
セクハラはかつて、自由恋愛の範疇と言われていました。ストーカーもです。パワハラは少し前まで、指導が行き過ぎただけということにされていました。いじめは、子供がふざけていただけと言う人がいまでもいます。
セクハラもパワハラもいじめも今では立派な社会問題です。私はオタク間の嫌がらせは、オタクにとって社会問題であるべきだと考えています。

 

個人的な問題が社会問題に昇格するにはどのような条件が必要でしょうか?それは、個々の問題を放置することで、コミュニティ全体に悪影響が及ぶことです。たとえば職場でのパワハラは重大な人権侵害であると同時に、職場環境の悪化⇒生産性の低下につながります。パワハラの放置はコミュニティ全体のデメリットなのです。

それではオタク間の嫌がらせ・マウンティングを放置するデメリットを思いつく限り挙げてみましょう

☆ジャンル参加者の減少 (新規参入者の減少 、嫌がらせに疲弊した人の離脱)
☆ジャンル参加者の画一化(新しい楽しみ方が生まれなくなる)
☆公式に対するバッドイメージ→運営状況の悪化
●人権侵害(精神的苦痛による心身への悪影響)
●類似ジャンルへの蔑視助長(某リゾオタ⇒カメラオタなど)
●「オタク」全体への蔑視助長

☆は主にそのジャンル当事者にとってのデメリット、●はオタク全体にとってのデメリットです。たぶんまだまだありますが、ぱっと思いつくだけでもこのくらい。

某リゾオタだけでなくBL二次、夢女子など一部のジャンルは隠れることでデメリットを回避しようとする傾向がありますが、なにそれキラキラ粉飾したブラック企業?って話で。好きになってからクズなところ見つけるほど辛いこと、無いと思うんですが。
(隠れようとするのは迫害を受けまくった歴史もあるので一概に責められないんですけどね……)

オタク同士の嫌がらせやマウンティングはジャンル内外にとっての大迷惑で、個人間の問題にはおさめてはいけない事態です。被害者を守り、加害行為を予防・防止する取り組みが本来は必要です。

 

 

たたき台として定義をつくってみた

さて、オタク間の嫌がらせ・マウンティング行為は社会問題扱いすべきと前段で結論づけました。
そうなると次の問題は「どこで線を引くか」です。
当たり前ですが、ありとあらゆる行為をハラスメント認定していたら逆に社会は崩壊します。
んで、ちょうどいいたたき台を探していたのですが……ありました。厚労省による、職場のパワハラの定義です。

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同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為

職場のパワーハラスメントについて |厚生労働省

オタク活動は(たいていの人にとって)仕事ではないので、単語を入れ替えてみましょう。

同じジャンルで活動する者に対して、
ジャンル上の地位や人間関係などのジャンル内の優位性を背景に、
活動の適正な範囲を超えて、
精神的・身体的苦痛を与える又はジャンル環境を悪化させる行為」

……けっこうイケそうじゃないですかね。とくに「優位性」の概念がとても強い。古参からにわかへの叩きに完璧に対応している。
オタク活動って仕事レベルに精神的コミットが高いのでわりとそのまま当てはまりそうです。

苦痛に関する判断も、パワハラの六類型がある程度は適用できるかな。元エントリの例は②精神的な攻撃に当たりますね。

1)身体的な攻撃
暴行・傷害
2)精神的な攻撃
脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
3)人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視
4)過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5)過小な要求
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6)個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること

職場のパワーハラスメントについて |厚生労働省

ただ、弱いところもいくつかあります。

①別ジャンルのオタク叩きが定義から外れる

「同じジャンルで活動する者」としたので、別ジャンルからの嫌がらせに当てはめることができません。この言葉をはずすと範囲が広くなりすぎるんですよ……。ただし、職務上のパワハラでも他社の社員に対するパワハラが認定されていますので、別ジャンルにも使えるとは思います。件数が多いなら別定義を作るべきかな。


②「活動の適正な範囲」があいまい

これが一番難しいんですよーーー!!!法律の条文だったら死ぬほど学説があるやつ。
たとえばある同人誌を読んだ感想で「クソつまんねえ」ってつぶやくのはセーフだと思うんですよ。そこまで取り締まるとただの言葉狩りになる。
でも「ジャンルやめてほしい」「こんな下手なの人前に出すとかw」みたいなことを言い始めるとちょっと怪しいし、リプやコメントで言ったら黄色信号、回数が重なったらレッドカードかなと思います。
どこまでが適正な範囲なのかはジャンルによるので各ジャンルで判断してほしいんですけど、たとえばBL二次だったら

  • ネガティブな感想を表明するのはセーフ
  • 人格攻撃にあたる発言は内容と回数によってアウト
  • 他人の作品発表を妨害するのはアウト 

……みたいなかんじかなあ。

結果で線引きをするなら、「被害者が活動の縮小を余儀なくされるか否か」でしょうか。パークに行く頻度がさがるとか、鍵垢でしか活動できなくなるとか、pixivのアカウントが消えるとか。

 

③炎上案件には対応できない

ネットでのオタク活動から撤退してしまう大きな原因の一つは炎上です。
が、今回あげた定義は基本的に1対1、せいぜい数人vs数人を想定しています。不特定多数の匿名者(捨て垢)から小さな攻撃を無数に受けることによるダメージについてはパワハラ概念だとカバーできません。
また別の検討が必要です。

 

さいごに 有効な対策は……

一方、オタク間パワハラへの有効な対策は……と考えていたんですが。うーん、難しい。
というのも企業と違って責任者がいないんですよね、あたりまえですけど。だから集団として一斉にとれる対策ってあんまりなくって……。
キャンペーンでもやります?推しのイラストに緑のリボンを描くみたいな。

www.pinkribbonfestival.jp


統一的な対応はすぐにできなさそうですが、オタク同士でもパワハラパワハラだよ、という認知によって少しずつ状況は良くなっていくかなと考えています。
セクハラも最初は職場だけだったのが、いまではプライベートにもふつうに受け入れられてますし。言葉があるって強いんですよ。「嫌です、やりすぎです」より「セクハラです」のほうが伝わる。

友だち同士でもオタク同士でも、パワハラはあかんというシンプルな価値観の共有で、オタクライフがすべての人にとって楽しいものになればいいと思います。

(オタ活の辛いことなんて〆切と金欠だけで十分だ!!!)